クリニックの移転や閉院、機器の入れ替えにともない、使わなくなった医療機器を手放したいと考えるクリニックや開業医の方は多いのではないでしょうか。とはいえ「中古の医療機器を売却するのに、許可や手続きは必要なのだろうか」と不安になり、手が止まってしまうこともあるかもしれません。
医療機器は一般の物品とは異なり、医薬品医療機器等法(薬機法)の規制対象です。そのため、手放し方を誤るとトラブルにつながる懸念もあります。
本記事では、まず中古医療機器の譲渡・売却に関わる法律の基本を整理しました。そのうえで、事前通知や許可といった手続きから、手間をかけずに安全・合法に手放す方法までを、医療従事者の視点で解説していきます。

医療機器の「譲渡」と薬機法の基本
中古医療機器を手放す際、まず気になるのが「そもそも譲渡してよいのか」という点ではないでしょうか。ここでは、薬機法における譲渡の位置づけと、許可の要否を分ける「業として」の考え方を整理します。
薬機法(医薬品医療機器等法)における「譲渡」の位置づけ
医療機器の流通は、医薬品医療機器等法(以下、薬機法)によって規律されています。正式名称を「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」といい、医療機器の安全な流通を支える基本的な法律です。
この法律は、医療機器を製造販売する者だけを対象とするものではありません。販売・授与・貸与する者についても、一定のルールを定めています。
ここでいう授与とは、無償で他者へ渡すことを指す概念とされています。実際に、業として医療機器を販売・授与・貸与する場合には、分類ごとに許可または届出が必要です。
つまり有償の売却に限らず、無償で譲り渡す行為も、薬機法のルールに関わる場合があります。どのような場合に手続きが必要になるかは、次に述べる「業として」に当たるかどうかが鍵になります。
「業として」行う譲渡と、一度きりの処分の違い
ここで重要になるのが「業として」行うかどうかという観点です。薬機法上の販売業・貸与業の許可や届出が問われるのは、医療機器の販売・授与・貸与を反復継続して、事業として行う場合とされています。
一方、クリニックが閉院や買い替えにともない、自院で使っていた機器を手放すような一度きりの処分は、必ずしも「業として」には当たらないと考えられます。
ただし、その判断は取引の回数や継続性など、個別の事情によって変わり得る点に注意が必要です。「1台だけだから大丈夫」と自己判断で進めるのは避けたほうがよいでしょう。迷う場合は、営業所の所在地を管轄する保健所などへ確認しておくと安心です。
クラス分類(Ⅰ〜Ⅳ)と扱いの違い
医療機器は、不具合が生じた場合の人体へのリスクの大きさに応じて分類されています。薬機法では、一般医療機器・管理医療機器・高度管理医療機器の3つに分けられ、リスクの程度に応じてクラスⅠからⅣに対応づけられているのが特徴です。そして、このクラスによって、販売・貸与に求められる手続きが変わってきます。
具体的な対応は、以下のとおりです。
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区分
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クラス
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リスクの程度
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販売・貸与の手続き
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一般医療機器
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クラスⅠ
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極めて低い
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原則不要
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管理医療機器
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クラスⅡ
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比較的低い
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販売業の届出
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高度管理医療機器
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クラスⅢ・Ⅳ
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高い〜生命に関わる
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販売業の許可
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ただし、上記はあくまで基本的な対応です。本来は届出や手続き不要で済むクラスⅠ・Ⅱの機器であっても、保守点検などに専門的な知識を要する特定保守管理医療機器に該当する場合は、高度管理医療機器等と同様に許可が必要となります。
この点は見落としやすいため注意が必要です。
中古医療機器を譲渡・売却するときに必要な許可・届出
医療機器を業として譲渡・販売する場合、機器のクラスに応じた許可または届出が必要になります。ここでは、高度管理・管理・一般それぞれの手続きを確認し、最後に要否を早見表で整理します。
高度管理医療機器は「許可」が必要
高度管理医療機器(クラスⅢ・Ⅳ)を業として扱う場合は、いちばん厳しい「許可」が必要です。たとえば人工呼吸器やコンタクトレンズ、透析器などが、この高度管理医療機器にあたります。
これらを反復継続して販売・貸与しようとするときは、営業所ごとに「高度管理医療機器等販売業・貸与業」の許可を、保健所などから受けなければなりません(法第39条第1項)。なお、本来クラスⅠ・Ⅱの機器でも、保守点検に専門知識が必要な特定保守管理医療機器にあたる場合は、同じく許可の対象になります。
この許可を受けるには、後述する営業所管理者の設置や、構造設備の基準を満たすことが必要です。準備に一定の期間がかかるため、早めに動いておくと安心でしょう。
管理医療機器は「届出」が必要
管理医療機器(クラスⅡ)を業として扱う場合は、許可よりも手続きの軽い「届出」が必要です。たとえばMRIやCT撮影装置、電子内視鏡、補聴器などが、この管理医療機器にあたります。
これらを販売・貸与するときは、あらかじめ営業所ごとに保健所長へ届け出る必要があります。許可のように事前の審査を受けるわけではなく、必要事項を届け出る形である点が、許可との大きな違いです。
ただし、すべての管理医療機器に届出が必要というわけではありません。電子体温計や避妊用コンドームなど、一部の管理医療機器については届出が不要とされています。
自院で手放したい機器がどれにあたるかは品目によって異なるため、事前に分類を確認しておくことをおすすめします。
一般医療機器の扱い
一般医療機器(クラスⅠ)は、人体へのリスクが比較的低いため、販売・貸与にあたって許可や届出は原則として求められていません。たとえば、メスやピンセットなどの鋼製小物、救急絆創膏、X線フィルムなどが該当します。
ただし、前項で触れたとおり、一般医療機器であっても特定保守管理医療機器にあたる場合は許可が必要です。「クラスⅠだから手続きはいらない」と即断せず、念のため分類を確かめておくと確実でしょう。
【早見表】クラス分類別・許可/届出の要否
ここまでの内容を、手放したい機器に当てはめて確認できるよう、一覧にまとめます。下表は基本的な対応を示したものです。
個別の品目や取扱い形態によって異なる場合があるため、最終的な判断は所管の窓口でご確認ください。
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区分
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クラス
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主な機器の例
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業として扱う場合の手続き
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一般医療機器
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クラスⅠ
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メス・鋼製小物、絆創膏・X線フィルム
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原則不要
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管理医療機器
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クラスⅡ
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MRI・CT・電子内視鏡・補聴器
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届出(法第39条の3)
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高度管理医療機器
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クラスⅢ・Ⅳ
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人工呼吸器・透析器、コンタクトレンズ・ペースメーカー
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許可(法第39条)
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特定保守管理医療機器
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全クラスが対象
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保守点検に専門知識を要する機器
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許可(クラスⅠ・Ⅱでも対象)
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※表中の機器の例は一般的な分類例です。同じ名称でも品目によって分類が異なる場合があるため、個別の機器の正確な分類は、製造販売業者(メーカー)や厚生労働省の告示・関連通知でご確認ください。
見落としやすい「中古医療機器の事前通知」とは?
中古医療機器の譲渡で見落とされやすいのが、製造販売業者への事前通知です。ここでは、その根拠となる条文や提出の流れ、近年の取扱い通知の要点を、実務目線で整理します。
事前通知が必要な理由
一度使われた医療機器を他へ販売・譲渡する際には、あらかじめ手続きが求められる場合があります。これは薬機法施行規則第170条第1項などに基づくもので、医療機器の販売業者等が使用された医療機器を他に販売等する際に、その機器の製造販売業者へ通知することとされています。これを一般に事前通知と呼びます。
事前通知が求められるのは、中古機器の安全性を確保するためです。中古の医療機器は、使用にともなう劣化や不具合のリスクを抱えている場合があります。そこで製造販売業者が品質や安全性を確認し、必要に応じて保守点検などの指示を出せるようにしているのです。
事前通知書の書式と提出先
事前通知は、その医療機器を製造・出荷した製造販売業者(メーカー)に対して行うものです。「どこかの役所に届け出る」のではなく、機器のメーカーへ通知する点が特徴といえます。
では、通知書はどのような書式を使えばよいのでしょうか。厚生労働省の通知では参考となる様式が示されています。ただし、製造販売業者が別に用いる事前通知書の様式について、見直し等を行って使用することは妨げないとされています。つまり、全国共通の決まった一つの書式があるわけではなく、実務上はメーカーが指定する様式に従うのが一般的です。
なお、厚生労働省が示す参考様式(中古医療機器の販売等に係る通知等について)は、こちらからご確認いただけます。
進め方としては、まず対象機器のメーカーへ連絡し、事前通知に必要な様式や手順を確認するのが確実です。通知を受けたメーカーが機器の状態を確認し、必要に応じて保守点検などの指示を行う、という流れになります。
最新の通知(令和4年・6年)の要点
中古医療機器の事前通知については、近年の通知もあわせて押さえておくと安心です。
現在の基本的な取扱いは、「中古医療機器の販売等に係る通知等について」(令和4年12月13日薬生機審発1213第1号)に基づいています。さらに、その実施状況を踏まえて「中古医療機器の販売等に関する個別事案の取扱いについて」(令和6年3月28日医薬機審発0328第6号)が定められました。
実務に関わる要点を、いくつか紹介します。たとえば令和4年の通知では、リース契約が満了し、同じ使用者が機器を継続して使う場合の取扱いが整理されました。
医療機器のリース契約が満了し、同一ユーザーが継続して使用することとして所有権の移転のみが発生する場合は、リース会社(販売業者等)から製造販売業者への通知をもって販売・授与できるようになっています。
また令和6年の通知では、品質確認に関する考え方も示されました。耐用期間や使用期間を超過した中古医療機器の販売等についての取扱いなどが整理されています。
こうした通知は更新されることがあるため、実際の手続きにあたっては最新の内容を確認しておくと確実でしょう。
事業として扱う場合に求められる主な遵守事項
医療機器を継続的に扱うには、許可・届出のほかにも守るべき事項があります。ここでは、営業所管理者の設置や資格、保管場所の基準、帳簿の作成など、実務で問われるポイントを順に確認します。
営業所管理者の資格要件
高度管理医療機器等を扱う販売業者・貸与業者は、営業所ごとに営業所管理者を置かなければなりません。これは、医療機器の販売・貸与を適切に管理し、保健衛生上の危害を防ぐための仕組みです。
高度管理医療機器等の販売業者・貸与業者については、薬機法第39条の2第1項に基づき、資格要件を満たした者を高度管理医療機器等営業所管理者として置くこととされています。
では、どんな人が管理者になれるのでしょうか。基本となる資格要件は、一定の実務経験と講習の修了です。
指定視力補正用レンズ等のみを扱う場合などを除き、医療機器の販売又は貸与に関する業務に3年以上従事した後、厚生労働大臣の登録を受けた者が行う基礎講習を修了した者であることが求められます。
なお、医師・歯科医師・薬剤師など、一定の資格を持つ人が要件を満たすとされる場合もあります。
管理者は兼務できる?
営業所管理者には、原則として専任が求められます。つまり、その営業所の管理に専念することが基本で、他の場所の業務と自由に掛け持ちできるわけではありません。
高度管理医療機器等営業所管理者は、その営業所以外の場所で、仕事として営業所の管理や薬事に関する実務を兼ねることは原則できないとされています。
ただし、例外もあります。法第39条の2第2項に基づく兼務の許可を受けた場合は、この限りではないとされています。
たとえば、隣接する診療所の医師が営業所の管理者を兼ねるようなケースなど、管理に支障がないと認められる範囲で兼務が認められる場合があります。複数の拠点を運営する事業者にとっては、見落とすと申請のやり直しにつながりやすい論点です。兼務を検討する際は、事前に所管の窓口へ確認しておくと安心でしょう。
保管場所・構造設備の基準
医療機器を扱う営業所には、機器を適切に保管するための構造設備の基準が定められています。医療機器の品質を保ったまま、安全に貯蔵するための条件です。
具体的には、採光・照明・換気が適切で清潔であること、常時居住する場所や不潔な場所から明確に区別されていること、そして取扱品目を衛生的かつ安全に貯蔵するために必要な設備を備えていることが求められます。
たとえば自宅の一室を営業所として使う場合には、住居用の部屋とは別に専用のスペースを確保し、居住部分と明確に区別しなければなりません。また、医療機器の現物を営業所に常時置かない場合であっても、保管のための設備自体は必要になると考えられます。
なお、「保管場所には鍵をかけるべきか」といった施錠の扱いは、機器の種類や保管状況に応じて個別に判断されることが多く、一律の基準として明文化されているわけではありません。実際の運用にあたっては、所管の保健所などの指導に従うのが確実でしょう。
帳簿・記録の作成と保存期間
医療機器を扱う事業者には、取引の記録を残すことも求められます。記録には大きく2種類があり、対象者や保存期間が異なる点に注意が必要です。詳細は以下の表を参照ください。
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記録の種類
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対象
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主な記載内容
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保存期間
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根拠
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営業所の管理に関する帳簿
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すべての医療機器販売業貸与業者
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管理者の研修受講状況、品質確保・苦情処理の状況など
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最終記載の日から6年間
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施行規則第164条ほか
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譲受・譲渡に関する記録
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高度管理医療機器等の許可業者
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品名、数量、製造番号、取引年月日、相手方の氏名・住所など
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記載の日から3年間(特定保守管理医療機器は15年間)
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施行規則第173条
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ポイントは、2つの記録が別物であり、保存期間も異なることです。とくに譲受・譲渡の記録は、特定保守管理医療機器の場合に15年間と長くなる点に注意しましょう。
いつ、どの機器を、誰とやり取りしたかを正確に残すことは、流通の追跡や安全管理の土台になります。様式や記載項目の詳細は、所管の窓口が公開する作成見本などを参考にするとよいでしょう。
個人売買・無許可での譲渡に潜むリスク
オークション・フリマアプリでの売買のリスク
近年はフリマアプリやネットオークションで、さまざまな物品を手軽に売買できます。しかし、医療機器をこうした場で安易に売買することには注意が必要です。医療機器は薬機法の規制対象であり、出品や取引のしかたによっては、販売業の許可や事前通知といったルールに関わってくる場合があります。
また、買い手が機器を適切に扱える相手かどうかを確認しにくいことも、見過ごせない問題です。中古の医療機器は品質や安全性の確認が欠かせませんが、個人間の取引ではこうした確認が十分に行われないおそれがあります。
結果として、トラブルや思わぬ責任問題につながりかねません。手軽さだけで個人売買を選ぶのは、避けたほうが賢明でしょう。
無許可で売却した場合の罰則
業として医療機器を販売・貸与するのに必要な許可や届出を行わないまま取引を続けた場合、薬機法違反として罰則の対象となる可能性があります。たとえば高度管理医療機器等を無許可で業として販売した場合、薬機法では3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはその両方が定められています(法第84条)。決して軽いものではありません。
ただし、どのような場合にどの罰則が適用されるかは、取引の実態によって判断されるものです。「1台売っただけで必ず罰せられる」といった単純な話ではなく、反復継続性などを踏まえて個別に評価されます。
とは言え、知らないうちに「業として」に該当してしまうケースも考えられます。リスクを避ける最善の方法は、自分のケースで手続きが必要かどうかを事前に確認すること、あるいは適切な許可を持つ業者に委ねることといえるでしょう。
中古医療機器を安全・合法に手放す方法─買取という選択肢
ここまで見てきたように、医療機器を業として扱うには多くの手続きが必要です。手放したいだけの場合、自分でこれらを背負うのは負担が大きいかもしれません。そこで選択肢となるのが、専門の買取業者へ売却する方法です。
買取なら売主の手続きは不要
これまで紹介してきた許可・届出・事前通知・記録といった手続きは、いずれも「業として」医療機器を販売・貸与する側に求められるものです。ここで押さえておきたいのは、買取業者へ売却する場合、これらの手続きを担うのは買い取る業者の側だという点です。
たとえるなら、古書店に本を売るときのイメージに近いといえます。本を買い取って販売するために必要な許可は買取店側が持っていますが、本を売りに来たお客さんには、特別な資格や許可は求められません。中古医療機器の買取も同じ構図です。薬機法上の販売業の許可や古物商の許可などを備えるのは、買い取る業者の側になります。
そのため、売り手であるクリニックや医療機関は、複雑な手続きを自ら行う必要は基本的にありません。手続きの負担や法令面の不安を避けたい場合、許可を持つ買取業者へ相談することは、安全で合理的な選択肢といえるでしょう。
失敗しない買取業者の選び方
買取業者に任せるとはいえ、どの業者を選ぶかは重要です。安心して取引するために、次の3つの点を確認しておくとよいでしょう。
・必要な許可の有無:中古医療機器の取扱いに必要な、薬機法上の許可などを備えているかを確認します。許可を持つ業者なら、法令にのっとった適正な取引が期待できます。
・実績・査定の透明性:買取実績が豊富か、査定の根拠を明確に示してくれるかを確認します。明快であれば、提示された金額にも納得しやすくなります。
・手続き・サポート体制:機器の引き取りや必要書類のやり取りを、どこまで支援してくれるかを確認します。ここが手厚いほど、煩雑な手続きの負担を軽くできます。
とくに、問い合わせの段階での対応の丁寧さは、信頼できる業者を見極める手がかりになります。複数の業者を比較しながら、説明が明快で誠実に対応してくれる相手を選ぶのがおすすめです。
中古医療機器の譲渡に関するよくある質問(FAQ)
Q1.
手持ちの医療機器を1台だけ売る場合も許可は必要?
許可が問題になるのは、原則として「業として」反復継続的に販売・貸与を行う場合です。クリニックが自院の機器を一度きりで手放すケースは、必ずしも許可の対象とは限りません。
Q2.
事前通知書はどこで入手できる?
事前通知は、対象機器の製造販売業者(メーカー)へ行うもので、様式もメーカーが指定する場合が一般的です。厚生労働省の通知に参考様式は示されていますが、まずは該当するメーカーへ連絡し、必要な書式や手順を確認するのが確実といえます。
Q3.
古い・故障した医療機器でも譲渡できる?
機器の状態や種類によって取扱いは異なります。買取業者によっては、古い機器や動作しない機器に対応する場合もあります。ただし可否や条件は業者ごとに違うため、事前に相談して確認することをおすすめします。
Q4.
譲渡の記録はどのくらい保管すべき?
高度管理医療機器等の譲受・譲渡に関する記録は、記載の日から3年間の保存が原則です。特定保守管理医療機器の場合は15年間と長くなります。また営業所の管理に関する帳簿は、最終記載から6年間の保存が求められます。
まとめ|中古医療機器の譲渡で迷ったら
中古医療機器の譲渡・売却には、薬機法に基づくさまざまなルールが関わります。業として販売・貸与する場合は、クラス分類に応じた許可や届出に加え、製造販売業者への事前通知、営業所管理者の設置、記録の作成といった対応が必要です。一方で、フリマアプリなどでの個人売買にも、法令・安全の両面でリスクが潜んでいます。
ただし、こうした手続きの多くは買い取る業者側が担うものです。クオンヘルスケアは中古医療機器の買取を専門とし、必要な許可を備えたうえで、医療機関の機器売却をサポートしています。閉院や移転、機器の入れ替えで使わなくなった医療機器がございましたら、まずはお気軽にご相談ください。

【参考】
本記事は、以下の一次情報(法令・通知・公的機関の解説)に基づいて作成しています。
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法令・通知
・薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)
第2条第4〜7項、第39条第1項、第65条
・薬機法施行規則第170条第1項
・厚生労働省「中古医療機器の販売等に係る通知等について」(令和4年12月13日)
・廃棄物の処理及び清掃に関する法律
※法令・通知は改正されることがあります。実際の手続きにあたっては、最新の条文・通知および所管の窓口(保健所等)の案内をご確認ください。
この記事の著者
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本社所在地 |
〒590-0025
大阪府 堺市堺区向陵東町3-2-20 |
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電話番号 |
072-276-4101 |
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認可証 |
高度管理医療機器販売業・貸与業許可
第 21N05051 号
医療機器修理業許可
27BS200794
古物商許可 ( 大阪府 )
第 622080196260 号
動物用管理医療機器等販売・貸与業届出 全省庁統一資格一般競争(指名競争) 発行番号:200713000037
産業廃棄物収集運搬業許可
第02700216380号
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