2022/03/22
医療機器業界の現状|日本と世界の市場と将来性
医療機器の進化は、医療の発展に欠かせない要素です。現在日本は高齢化が進んでおり、医療機器の需要が高まっています。今後も高齢者の割合が増え、2065年には38.4%にもなると推計されており、医療機器の需要も増えることが予想されています。
医療機器とは?
そもそも医療機器とは、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(通称:薬機法)」の第2条第4項で定められた、下記の定義を満たす機械・器具を指します。
・人や動物の疾病の診断・治療・予防に用いられるもの
・身体の構造・機能に影響を与えることを目的としているもの
・政令で定められたもの
医療機器のクラス分類
日本の医療機器は、薬機法によって一般医療機器・管理医療機器・高度管理医療機器の3段階に分類されています。一方、国際的には、医療機器規制国際整合化会議GHTF (Global Harmonization Task Force) において定められた、4つのクラス分類が存在しています。日本では、この国際分類を一般医療機器・管理医療機器・高度管理医療機器に適用した4つの分類が厚生労働省から通知されています。
<医療機器のクラス分類>
国際クラス分類
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薬機法上の分類
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医療機器の例
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クラスⅣ
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高度管理医療機器
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心臓ペースメーカー・人工弁・冠動脈ステント・吸収性縫合糸・人工乳房・冠動脈ステント
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クラスⅢ
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透析機器・人口呼吸器・放射線治療機器・人工骨頭・人工関節・胆管用ステント・体外式結石破砕装置・汎用輸液ポンプ
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クラスⅡ
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管理医療機器
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心電計・脳波計・電子体温計・電子式血圧計・画像診断機器・電子内視鏡・歯科用合金
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クラスⅠ
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一般医療機器
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体外診断用機器・医療用ピンセット・鋼製小物・ネブライザー・縫合針・X線フィルム・聴診器・水銀柱式血圧計
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日本の医療機器の市場規模
令和2年の「経済産業省における医療・福祉機器産業政策について」によると、日本の医療機器市場は、2004年以降増加しており、2017年は過去最大の市場規模3兆円となりました。これは世界的にみても非常に大きく、日本はアメリカに次いで世界2位の市場を持つ国となっています。
医療機器は、大まかに診断機器・治療機器・その他の医療機器に分類されます。このうち、日本の市場規模の約60%を占めるのが治療機器、20%を占めるのが診断機器の分野です。
分類
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医療機器の例
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診断機器
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内視鏡・超音波診断装置・X線撮影フィルム・体温計・血圧計・心電計・MRI・X線CT
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治療機器
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カテーテル・人工関節・人工骨・人工肺・心臓ペースメーカー・注射器
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その他
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コンタクトレンズ・歯科材料・手術用手袋
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世界の医療機器市場
世界的にも医療機器の市場は拡大傾向にあります。2020年のグローバル市場は、約53兆円で、2030年には約87兆円にまで拡大するといわれています。日本国内でも、世界でも医療機器市場は非常に将来性があるといえるでしょう。
そのなかで、日系企業は、診断機器分野では一定の国際競争力を持っており、軟性内視鏡で約98%が、MRIで約31%、超音波画像診断装置で約24%の世界シェアを獲得しています。
一方、治療機器分野では国際競争力が弱く、欧米企業が世界シェアを占めている現状があります。2014年時点では、外資系企業が人工関節・腹膜透析装置・心調律管理装置で100%、放射線治療装置・ステントで約99%のシェアを持っています。世界2位の市場にも係わらず、医療機器の多くを輸入に頼っています。輸入額の増加は顕著で、2018年の貿易収支はマイナス9,529億円にも上ります。とくに、治療機器分野で、日本企業は海外企業に大きく遅れをとっているといえます。
国内の主な医療機器メーカー
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世界の主な医療機器メーカー
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・オリンパス株式会社
・テルモ株式会社
・ニプロ株式会社
・シスメックス株式会社
・日本光電工業株式会社
・フクダ電子株式会社
・オムロン株式会社
・コニカミノルタ株式会社
・株式会社メニコン
・株式会社島津製作所
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・Medtronic
・Johnson & Johnson
・Abbott
・GE Healthcare
・BD
・Philips
・Siemens Healthineers
・Cardinal Health
・Stryker
・Baxter
・Boston Scientific
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新型コロナウイルス感染症の流行による需要の変化
新型コロナウイルス感染症の影響によって、人工呼吸器や生体情報モニター、検査機器、デジタルヘルスなど一部の医療機器の需要が大きく増加しました。とくに、ソーシャルディスタンスが求められるなか、オンライン診療の実施を登録した医療機関が急拡大。それに伴い、デジタルイノベーションが本格化しています。
一方で、感染の拡大による患者数と手術件数の減少から、大型機器に対する需要は低下しています。経営状況が悪化している医療機関も増加したことは、医療機器市場にマイナスの影響を与えています。
この記事の著者
本社所在地 |
〒590-0025
大阪府 堺市堺区向陵東町3-2-20 |
電話番号 |
072-276-4101 |
認可証 |
高度管理医療機器販売業・貸与業許可
第 21N05051 号
医療機器修理業許可
27BS200794
古物商許可 ( 大阪府 )
第 622080196260 号
動物用管理医療機器等販売・貸与業届出 全省庁統一資格一般競争(指名競争) 発行番号:200713000037
産業廃棄物収集運搬業許可
第02700216380号 |
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