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2025/07/14
医療機器認証とは?制度の仕組み・申請方法・中古販売との関係まで徹底解説

医療機器を取り扱ううえで欠かせない「認証制度」。特に中古医療機器を導入・売却する場合は、認証の有無や手続きの違いが重要な判断材料となります。
本記事では、以下のような疑問にお応えします。
・医療機器の「認証・承認・届出」の違いとは?
・認証番号の見方と確認方法は?
・認証が中古機器の流通にどう影響するのか?
・ISO13485とQMSの基本的な関係性とは?
・認証機器の売却を進めるうえでの注意点
医療現場や管理業務に関わるご担当者様にとって、実務に役立つ知識をまとめています。
医療機器認証とは?基本の考え方と制度の目的
医療機器認証とは、製品の安全性や性能が一定の基準を満たしていることを示す制度です。患者さまに安心して使用いただくために、法的な整備のもとで運用されています。
医療機器に求められる法的整備と背景
医療機器は、診断・治療・予防といった医療行為に直接使用されます。そのため、品質や安全性に対する信頼性が重要です。万が一不備のある機器が使われると、医療従事者の判断に影響します。つまり、患者さまの健康を損なう恐れがあるのです。
このような背景から、医療機器に対する法的整備は各国で厳格に行われています。日本では「医薬品医療機器等法(薬機法)」がその根拠法となっており、製造・販売・使用の各段階で、リスクに応じた管理制度が整備されています。
医療機器の認証制度は、血圧計や超音波診断装置など、中程度のリスクが想定される製品が対象です。こうした機器は、厚生労働省の基準に基づき、登録認証機関と呼ばれる第三者機関によって安全性や品質が審査されます。
基準に適合していると判断された機器には「認証」が与えられ、正式に市場へ流通します。制度を通じて、安心して使用できる医療機器が流通する体制が築かれているのです。(登録認証機関制度について より)
認証制度は何をチェックするものか
医療機器認証制度の審査対象は以下の観点です。
・製品の設計・構造の安全性・性能基準を満たしているか
・製造工程や品質管理体制に問題がないか
・添付文書やラベル表示が正確で適切であるか
・想定される使用環境や使用者へのリスク管理がなされているか
これらの確認は、登録認証機関と呼ばれる第三者機関が行います。認証を通じて、製品が一定の基準に達していることが客観的に評価されるので、医療機関や患者さまに評価され、安心の根拠となります。(PMDAプログラム機器基準、QMS適合性調査ガイダンスより)
薬機法(PMD法)との関係とは?
日本国内で医療機器を販売・使用するためには、薬機法(Pharmaceuticals and Medical Devices Act:略称PMD法)の遵守が必要です。この法律は、医療機器のリスクに応じて「届出」「認証」「承認」の3つの制度の使い分けが求められます。
認証制度は、その中でも「クラスII」と呼ばれる中程度のリスクを持つ機器に対して適用されます。クラスIIIやIVなど高リスク機器にはより厳格な「承認」、クラスIのような低リスク機器には「届出」が求められるなど、段階的な規制があります。
また、薬機法は製造業者や販売業者に対しても、品質管理・安全管理の体制構築(QMS適合)を義務づけています。つまり、医療機器認証は単なる「製品の性能確認」ではなく、製造から市場流通まで一貫した安全管理体制の証明でもあるのです。
医療機器のクラス分類と手続きの違い
医療機器は、人体に及ぼすリスクの程度によってクラスI~IVの4区分に分類されるのが特徴です。各クラスに応じて手続きが異なります。そのため、製造や販売を進める前に、ご自身の製品がどのクラスに該当するかを正しく把握しておきましょう。
クラスI~IVの4段階分類とリスクの違い
クラスI(一般医療機器)
→ 不具合が発生しても人体への影響がほとんどない製品
(例:体温計、絆創膏)
クラスII(管理医療機器)
→ 不具合が発生した場合、人体への影響が比較的低いとされる製品
(例:電子血圧計、超音波診断装置)
クラスIII(高度管理医療機器)
→ 影響が比較的高い製品
(例:透析器、人工呼吸器)
クラスIV(高度管理医療機器)
→ 影響が非常に大きく、生命の危機につながる可能性ありの製品
(例:ペースメーカー、ステント)
「届出」「認証」「承認」の違いを表で整理
クラス
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手続き区分
|
主な審査機関
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処理内容
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I
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届出
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PMDA(形式審査)
|
形式的確認のみ
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II
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認証
|
登録認証機関
またはPMDA
|
基準適合性を評価
|
III・IV
|
承認
|
PMDA→厚労省
|
品質・性能・安全性の総合審査
|
クラスIは、形式的な届出のみで対応可能です。一方、クラスIIは登録認証機関による第三者認証が必要になります。また、クラスIIIとIVでは、PMDAによる承認審査が必須です。
第三者認証機関とPMDAによる審査の違い
第三者認証機関(登録認証機関)
→ クラスIIや基準のあるクラスIII製品において、認証基準の適合性を評価します。効率的な制度として2013年から導入されました。
PMDA(医薬品医療機器総合機構)
→ クラスIII/IV製品、または認証基準がないクラスII製品について、品質・性能・安全性のデータを審査し、厚生労働大臣による承認を受ける必要があります。
以上のように、クラス分類ごとに手続きが明確に異なる制度設計です。そのため、製品に応じて適切な選択が求められます。医療機器認証を取得するための方法は、次のセクションで具体的に説明します。
医療機器認証を取得するための手続きと準備要件
医療機器の認証を取得するには、製品そのものの性能だけでなく、申請書類や体制整備といった事前準備も欠かせません。本セクションでは、認証取得に向けて必要なステップとその背景について整理します。

申請の前に必要な準備とは?
認証申請に先立ってまず行うことは、該当する医療機器がどのクラスに分類されるかを正しく把握することです。クラスによって申請方法や審査機関は異なります。そのため、誤った判断をすると時間やコストのロスにつながりかねません。
次に必要なのは、該当機器に適用される認証基準やJIS規格(日本産業規格)を確認し、それに沿った製品設計・仕様の整備です。また、製造体制が一定の品質管理水準(QMS)を満たしているかどうかも審査対象になります。製造所や委託先の体制も確認しましょう。
あわせて、製品ラベルや取扱説明書(添付文書)の内容も認証審査の項目に含まれます。これらが不備なく揃っていることを事前に確認して、スムーズな認証取得に挑みましょう。
審査機関・必要書類・所要期間の目安
医療機器の認証審査を行うのは、厚生労働大臣が指定する登録認証機関です。申請者は製造販売業者として登録されたうえで、次のような書類を提出する必要があります。
・製品仕様書・設計図
・添付文書・表示案
・認証基準との適合性を示す資料
・製造所のQMS関連文書(品質マニュアルなど)
審査期間は製品の種類や内容により異なりますが、概ね3〜6か月程度が目安とされています。
ただし、不備があった場合はその都度の差し戻しや再提出が必要です。余裕を持ったスケジュールで対応しましょう。
認証取得にかかる費用と品質管理体制(QMS)との関係
医療機器認証には、登録認証機関への審査手数料や、QMS適合性調査に伴う費用が発生します。費用の目安は製品の複雑さやカテゴリによって異なり、数十万円から百万円前後のケースが一般的です。
特に品質管理体制(QMS:Quality Management System)は、製品だけでなく企業全体の品質管理体制の整備状況が問われる項目です。国際規格であるISO13485(医療機器向け品質マネジメントシステム)の取得がある場合、QMS適合の証明がしやすくなるメリットがあります。
反対に、品質管理体制が未整備であったり、委託先との体制連携が不十分な場合は、認証取得の遅延や追加審査の可能性も。単に製品を完成させるだけでなく、申請時点での「体制の見える化」をしておくとよいでしょう。
医療機器認証番号とは?意味と確認方法
医療機器認証番号は、製品が認証制度を通過した証として付与される番号です。製品の識別や安全性確認に重要な要素となります。
認証番号の見方と確認箇所の例
認証番号は製品や包装、添付文書のラベルなどに記載されています。通常、以下の形式です。
【認証番号の構成】
認証番号は、以下の要素で構成されます。
・認証した年 (3桁):1桁目は「2」(平成)、続く2桁は年度
・登録認証機関の登録番号:登録認証機関が特定される番号
・認証の種類の符号 (3桁):認証のタイプを区別する符号
・当該年における当該登録認証機関による認証の一連番号 (5桁):その年に登録認証機関が認証した番号の一連の番号
・サブ番号 (3桁):「000」が使用される
(例)医療機器認証番号:205ALBZX01234000
・205:令和5年(2+05)
・AL:ある登録認証機関(例:医療機器センター)
・BZX:種類=医療機器製造販売認証
・01234:その機関での通し番号
・000:初回サブ番号
たとえば、包装箱裏面に上記のような番号があれば、その製品は正式に認証を受けたものだと推定できます。複数の包装サイズやモデルがある場合は、製品ごとに枝番が異なります。(厚生労働省:指定管理医療機器等の認証番号について より)
医療機器認証番号を検索できる主な公的機関サイト
認証番号の真偽や内容詳細を確認するには、以下のサイトで検索できます。
・PMDA 医療機器データベース
→ 認証・承認製品が一覧表示され、概要情報・更新履歴が確認できます
上記のサイトで番号が該当製品と一致していれば、安全性確認の裏付けができます。不一致や該当なしの場合は注意が必要です。
実際に認証番号が記載されているラベル
提供:株式会社クオンヘルスケア
医療機器認証番号が流通・買取に与える影響
認証番号は製品流通や中古機器の査定にも影響を及ぼします。
・売買・取扱の信頼性
→ 認証番号が正しいと、医療機関・流通業者から正式品として扱われ、安全面でも安心できます。
・買取査定への影響
→ 認証番号が不明・不一致の場合、査定額が低くなる、または買取不可になる可能性があります。
・製品管理・履歴の追跡
→ 認証番号があることで製品を特定・管理しやすくなり、出荷から使用先までの流れを速やかに把握できます。
認証のある医療機器とない機器の違い
医療機器の「認証」とは、その製品が薬機法に定められた基準を満たしていることを、公的に確認・証明されたものを指します。
一方、見た目や使用感が医療機器に似ていても、正式な認証を受けていない製品も存在します。
家庭用マッサージ機など「医療機器風」製品に注意
市場には、家庭用マッサージ機や美容機器など、医療機器に類似した製品が数多く流通しています。これらの製品は医療機器のように見えるものの、薬機法に基づく認証を受けていない場合もあるのです。
例えば、認証がない製品は「肩こりの緩和に効果がある」などの表現を使えません。そのため、「リラックス用」などのあいまいな効能表示にとどまるのが通常です。
医療機関での使用や患者さまへの勧奨を行う際には、誤認によるトラブルを避けるためにも、認証の有無を必ず確認することが求められます。
認証があると何が安心なのか
認証を受けた医療機器は、製品の設計や構造、製造工程、添付文書の内容までが法令に基づき審査されています。これにより、一定の安全性・性能・品質が確保されていることが保証されるのです。
さらに、トラブル発生時には認証番号をもとに製品を特定し、リコールや回収、使用中止の案内などが迅速に行われる体制も整っています。
特に医療従事者が使用する機器は、診療の正確性と安全性に直結するため、認証の有無は重要な判断材料となります。
薬機法と広告表現|認証に関する留意事項
医療機器の広告・販促活動では、薬機法が定める厳格な表現ルールを守る必要があります。
たとえば、認証を受けていない機器について「治療効果がある」「症状が改善する」といった効能効果をうたうことは違法です。
また、認証を受けた機器であっても、表現の内容や文脈によっては指導対象となることがあります。
インターネット広告やパンフレットなどでは、認証番号の明記や用語の使い方に注意を払うことが推奨されます。
中古医療機器と認証情報の関係性|売却時の注意点
医療機器の売却を検討する際、製品の認証情報が重要な判断材料となります。特に中古市場では、認証番号の有無や添付文書の整備状況が、機器の流通可否や査定額に大きく影響します。
ただし、「認証がある=高値で売れる」という単純な図式ではないため、正しい理解が必要です。
認証がある中古機器は再流通しやすい
薬機法に基づき認証された医療機器は、安全性・品質・性能の基準を満たしていると評価されます。そのため、市場での信頼性が高く、再販売がしやすくなります。
特に血圧計や超音波診断装置など、日常的に使われる管理医療機器では、認証情報の明確な製品ほど流通先(医療機関や販売業者)からの評価が得やすい傾向にあります。
したがって、認証の有無は中古市場では流通可能性を左右する大きな要素の一つとなっています。
添付文書・認証番号が査定価格に与える影響
機器本体に加え、添付文書の有無や認証番号の記載状況も、査定時の評価ポイントとなります。
これらの情報が整っている場合は正規品としての信頼性が高まります。よって、製品の状態だけでなく「書類面での完全性」も加味されて評価されることが一般的です。
一方で、認証番号が不明である場合や添付文書が欠損している場合は、買取不可となるか、減額査定のリスクにつながるでしょう。
「認証があるから高く売れる」わけではない
しかし、認証があるからといって必ずしも高額査定につながるわけではありません。
市場価値は、製品の年式、動作状況、需要の高さ、モデルの希少性など複合的な要素で決まります。認証番号はあくまで最低限の信頼性を担保するものです。それ以上の価格差は製品の実用性や市場のニーズによっても変化します。
加えて、法律上の観点から再販売に制限のある製品(一部の高度管理医療機器など)も存在するため、事前の確認が必要です。
中古医療機器の売却を検討する際は、認証情報の確認と書類の整備を怠らないことが大切です。さらに、専門業者への相談を通じて、適切な手続きを進めることが望まれます。
製品の価値を正しく評価してもらうためにも、こうした基礎知識を押さえておきましょう。
医療機器の売却を検討している方へ|クオンヘルスケアが選ばれる理由
医療機器を売却する際には、信頼できる専門業者に依頼することが欠かせません。特に、認証制度や法規制への理解が求められる場合は、確かな知識と実績を持つパートナーを選ぶことが重要です。
株式会社クオンヘルスケアは、中古医療機器の買取で医療現場のニーズに寄り添った対応と、専門的なサービス体制で高い評価をいただいています。
医療機器の認証知識を持つ専門スタッフが対応
クオンヘルスケアでは、薬機法や認証制度に精通した専門スタッフが、機器の状態や認証情報を的確に確認いたします。医療機器はクラス分類や手続きが複雑なため、専門知識を持たない業者では対応が難しいことも少なくありません。
その点、同社では医療従事者の方にも安心してご相談いただけるよう、経験豊富な担当者が丁寧に対応しております。
「ISO13485」認証取得済=安心して任せられる買取体制
クオンヘルスケアは、医療機器の品質マネジメントシステムに関する国際規格「ISO13485」の認証を取得しています。
これは、医療機器の取扱いで高い安全性と品質管理体制が整っている証です。機器の受け入れから査定・出荷に至るまで、厳格な管理体制のもとで運用されているため、売却後も安心してお任せいただけます。
医療機関の信頼に応える体制が整っていることも、多くのリピーターが存在する理由のひとつです。
買取前のチェックポイントを無料でサポート
機器を売却するにあたって、添付文書や認証番号の有無、動作状態など、事前に確認すべき項目は多岐にわたります。
クオンヘルスケアでは、そうしたチェックポイントもご案内し、スムーズな買取手続きをサポートしています。
必要書類の整備や状態確認など、煩雑になりがちな準備も、専門スタッフが丁寧にフォローいたします。初めての方も安心してご利用ください。
買取の流れについては以下の記事をご覧ください。
医療機器認証に関するよくある質問(FAQ)
医療機器の売却や管理に関しては、認証制度をめぐるさまざまな疑問が寄せられます。ここでは、実際に多くいただく代表的な質問をQ&A形式でご紹介します。
Q1:自分の機器が医療機器かどうかはどう確認する?
製品に記載されている品目名や型番、認証番号などをもとに、PMDAの医療機器データベースで確認することが可能です。製品ラベルや添付文書も確認の手がかりになります。
不明な場合は、医療機器販売業者や専門業者への相談も有効です。
Q2:認証されていないと買取できないの?
認証がない場合でも、製品の種類や状態によっては買取が可能なケースもあります。
ただし、医療機器として法的に取り扱うには認証番号が必要となるため、再販や流通には制限がかかる可能性があります。認証の有無は、査定金額や取り扱い条件に大きく影響しますので、事前の確認をおすすめします。
Q3:認証番号が見つからないときは?
認証番号は機器本体、包装箱、添付文書などに記載されていることが多く、製品により記載箇所が異なります。見当たらない場合でも、製品情報をもとに認証番号を調査できる場合がありますので、専門業者にご相談ください。
買取希望の機器が多数ある場合も、個別に調査を進めながらご対応可能です。
Q4:施設を閉院する場合、まとめて機器を処分できますか?
はい、可能です。クオンヘルスケアでは、閉院・移転に伴う一括買取や回収にも対応しています。
認証情報の確認や、処分に必要な書類整理なども無料でサポートしており、手続きの簡素化と法令遵守の両立を図っています。早めにご相談いただければ、スケジュール調整や搬出手配もスムーズです。
医療機器認証の理解と中古機器取扱いのポイントまとめ
医療機器の認証制度は、安全性や品質の担保に不可欠な仕組みであり、中古機器の売却では重要な判断材料となります。認証番号の有無や添付文書の整備状況によって、査定や流通の可否が左右されるため、正しい知識と対応が求められるのが実情です。
クオンヘルスケアでは、薬機法や認証制度に精通した専門スタッフが、状況に応じて丁寧かつ的確にご案内いたします。さらに、ISO13485(医療機器に特化した品質マネジメント規格)を取得した体制のもとで運用されており、初めての方でも安心してご相談いただけるのが特長です。
中古医療機器の適正な売却をお考えの際は、ぜひ一度ご相談ください。
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